EV優遇の現状 2023年5月

コペンハーゲン市のEV優遇の現状*2023年5月時点

  • EV車、EVバイク及び水素車は、全ての市営地上パーキングを無料で利用できる。PHVプラグ・イン・ハイブリッドはこれに当てはまらない。
  • 市の居住者用パーキングスペースを利用する場合の料金は、ガソリン車は燃費別に年間約2万6千円から11万円。EV及び水素車は一律約4千3百円。

*該当する車であるか否かは、諸管轄がナンバープレートデータベースで識別可能となっているので、違反には車の所有者に罰金が科せられる。これはその他の違反も同じである。

国のEV優遇*2023年5月時点

  • ガソリン車の取得税は、最大150%であるが、2020年のEVはこれが0%であった。2022年以降のEV及びPHVは価格に応じた段階的な課税制度で最大40%となっている。ガソリン車と比較するとかなりの低率と言えるが、2025年以降は現在よりも低い税率が適用される予定。
  • 年間税は、ガソリン車の約3分の1程度に抑えられている。

EVが増えない最大の理由は、ガソリン車との価格差である。デンマークの自動車税は高く消費税も25%と高いため、ガソリン車も同レベルの日本の市場価格と比較すると倍近い。EVは同程度の仕様でもガソリン車より200万円ぐらい高くなってしまう。

しかし、ガソリンの高騰などの物価高に対する安価な深夜電力などを考慮すると、EVのほうが結果的には安くなる、と国内最大の自動車所有者のための組織であるFDM(United Danish Motorists)は言っている。

価格差以外に、充電インフラや充電時間、航続距離に対する不安や、EVに対する認知度がまだまだ不足していることもその要因として挙げられる。

あとがき

EVの認知度で、デンマークと同じくEVの認知度が高い国は筆頭にノルウェー、そしてスウェーデン、オランダ、ドイツと北ヨーロッパ。テスラのUSAは挙げるまでもないか。

国のEV優遇の現状*2023年5月時点

https://skat.dk/data.aspx?oid=2234529

ゼロ・エミッション・CITY

2023年5月4日、コペンハーゲン市議会において、2030年までに首都からガソリン車やディーゼル車などの化石燃料自動車をなくすよう取り組むことが合意された。

実現には様々な課題がある。

7年以内に充電スタンドを整備することが可能か否か、近隣市との関係や社会的なバランスが取れるか否か、更には国会からの支援も必要だ。

2021年時点では、自治体が内燃機関を持たない車しか走れない「ゼロ・エミッション・ゾーン」を導入することが可能と合意されているが、法整備には至っていない。まずは一部エリアのみのゾーン形式から始めるのではなく、コペンハーゲン市は一気に市全体へと計画するのか、乗用車の販売にも更に大きな影響が出ると思われる。

というのも既にEVの需要は高く、車庫を持たないアパート住民もEVを購入する人が増え、ディーゼル車では肩身が狭い、と嘆く人も出てきている。また、若者の多くは、いずれガソリン車は消える、と予測している。

確かに、ガソリン車が少ない街の空気はとてもきれいだし、騒音もない。イケてるコペンハーゲンが世界初のEVの街になるのか、どうか。

市内を抜ける、アンデルセン通り。自転車も多い。

ゼロ・エミッションは、大気汚染物質を排出しないことを指し、具体的には二酸化炭素や窒素酸化物、粒子状物質を一切出さないことで、地球温暖化の原因の一つであると知られている、その解決策の一つである。

実現には、再生可能エネルギーの利用、省エネの推進、クリーンテクノロジーの開発などの取り組みが不可欠とされる。

デンマークは今では風力発電のパイオニアとして世界にその名前が知られているが、90年代でも風力発電は非現実的だと言っていた科学者も知識人も多かったのだ。しかし、それが現実となった今、デンマークの首都コペンハーゲンは、もしかすると2030年からガソリン車は消えるのかも知れない。

コペンハーゲン市のEV優遇の現状*2023年5月時点

  • EV、Eバイク及び水素車は、全ての市営地上パーキングを無料で利用できる。PHVプラグ・イン・ハイブリッドはこれに当てはまらない。
  • 市の居住者用パーキングスペースを利用する場合の料金は、ガソリン車は燃費別に年間約2万6千円から11万円。EV及び水素車は一律約4千3百円。

*該当する車であるか否かは、諸管轄がナンバープレートデータベースで識別可能となっているので、違反には車の所有者に罰金が科せられる。これはその他の違反も同じである。

国のEV優遇*2023年5月時点

  • ガソリン車の取得税は、最大150%であるが、2020年までのEVはこれが0%であった。以降のEV及びPHVは価格に応じた段階的な課税制度で現在は最大40%となっている。ガソリン車と比較するとかなりの低率と言えるが、2025年以降は現在よりも低い税率が適用される予定。
  • 年間税は、ガソリン車の約3分の1程度に抑えられている。

EVが増えない最大の理由

ガソリン車との価格差である。デンマークの自動車税は高く消費税も25%と高いため、ガソリン車も同レベルの日本の市場価格と比較すると倍近い。EVは同程度の仕様でもガソリン車より200万円ぐらい高くなってしまう。

しかし、ガソリンの高騰などの物価高に比較し安価な深夜電力などを考慮すると、EVのほうが長期的には安くなる、と国内最大の自動車所有者のための組織であるFDM(United Danish Motorists)は言う。

価格差以外に、充電インフラや充電時間、航続距離に対する不安や、EVに対する認知度がまだまだ不足していることもその要因として挙げられる。

あとがき

EVの認知度で、デンマークと同じくEVの認知度が高い国は筆頭にノルウェー、そしてスウェーデン、オランダ、ドイツと北ヨーロッパ。テスラのUSAは挙げるまでもないか。

PCR検査のデータ分析

SARS-Cov-2 最終更新日:2022年8月15日

2022年8月15日、デンマーク国立血清研究所が行った、今年6月までに国内で行われた6000万件以上のPCR検査データを分析したワクチン未接種の集団の免疫についての分析結果が、英医学誌ランセット・リージョナル・ヘルス‐ヨーロッパ「The Lancet Regional Health – Europe」に掲載された。

コロナウイルスに感染した後、ワクチン未接種の集団ではどの程度の免疫が得られるのか?デンマーク国立血清研究所(SSI)の研究者たちは、デンマークのPCR検査データを分析し、この疑問について調査した。PCR検査は、何度も感染する可能性がどれくらいあるか、つまり、以前の感染が新しい感染に対してどれくらい予防になるかを調べるためにも使うことができた。(デンマークにおけるPCR検査は、コロナパスなどと併用して、社会活動の制限と高齢者や弱者を守るためにも推奨され、人口当たり世界一多い件数となった)

以下、デンマーク国立血清研究所が国民に向けて発表したニュース内容の要約

結論から言うと、covid-19に過去に感染していると、同じ変異体による再感染に対して良好な予防が得られ、同じウイルス変種への再感染の発症予防率は83%で、ワクチンを接種した場合と同じであり、重症化を防ぐにも有効であった。

デンマークでは、ファイーザー社製とモデルナ社製のmRNAワクチンが使われた(2020年当初フロントライナーがアストラゼネカ社製及びジョンソンエンドジョンソン社製を接種したが、後に上記が推奨された)

初期バリアントに対する高い予防機能

主にオリジナルの武漢ウイルスとαアルファ変種に感染した2021年夏の初めまで、過去に感染したことがある人の新規感染に対する防御率は83.4%であった。しかし、65歳以上の高齢者では、70.2%と低い。感染時の症状の有無によって、プロテクションが異なる。症状が無いほうが予防率は悪く、症状があった人だけを対象にデータを分析すると88.3%の発症予防率があった。

  • αアルファ 英国2020年9月
  • βベータ 南アフリカ2020年5月
  • γガンマ ブラジル2020年11月
  • δデルタ インド2020年10月
  • οオミクロン 複数国 2021年11月

「デンマークで行われた多くの検査に基づいて、流行の初期にコロナに感染した後の自然免疫は平均約83%で、ワクチン接種後の集団に見られる予防効果とほぼ同等であると計算できた」と、主任研究員のSteen Etheæbergは言う。

デルタ時の予防効果

δデルタ変種がデンマークで流行した2021年秋と、οオミクロンが引き継いだ今年初めの様子も調査した。以前の感染でもδ型感染に対する予防効果があり、感染の間隔が長くなると、予防効果は徐々に低下することがわかった。しかし、これらの結果は、ワクチンを受けていない人たちだけを対象にした分析であり、ワクチン接種が進んだデンマークではこのグループは次第に小さくなっていったため、少し不確かなものとなる。

逆に、οオミクロンが確認された時期には、過去の感染症からの予防効果が極端に低下した。再感染の間隔が短期間であれば予防率は51%だが、初感染が1年以上前であると予防率は19%にとどまった。しかし、オミクロン感染後でも重篤な病気に対しては十分な効果があった。。

“新しいウイルス変種では感染に対する予防効果が低く、特にοオミクロンは比較的自由に人の間を行き来し感染させることができ、すでに「古い」ウイルス変種のいずれかに感染している人にも感染する可能性があることが分かった。幸いなことに、以前の感染が新たな感染に対してそれほど予防できなかったとしても、重症化に対しては十分な効果が確認された」とSteen Ethelbergは言う。

LEGO House

レゴハウス

 犬の散歩ついでにオープン前の朝一番に近所を歩いてみたが、人の気配がない。これは昔も今も変わらず(苦笑)

世界にひとつしかないレゴハウス。 レゴの聖地と呼ばれるBillund にある(Ole Kirks Plads 1 )が住所。レゴの創立者オーレ・キアク・クリスチャンセンの名前が付いた、オーレ・キアクの広場1番地。
出迎えてくれる犬(笑)。
巨大なレゴツリーを鑑賞しながら階段を上る。
まだ建築中(笑)。
恐竜は三体いる。そのうちの一体が赤ちゃんと一緒。ストーリーが楽しい。
最近人気の「大人レゴ」のデザイナーの作品や、毎年開催されるイベントで選ばれた、世界の大人や子供のレゴファンの作品が展示されている。

1Fはレゴショップとカフェがある。ここはチケットがなくても利用可能。

 2020年初めから世界状況が激変してどうなることかと思っていたが、既に国内の旅行者や近隣諸国からの旅行者で、レゴハウスも活気を取り戻しており、レゴファンの楽しそうな姿があった。3時間弱いたが、柱に寄りかかって、スマホのゲームに夢中になってる男児を一人見かけた。レゴどころではないらしい。親は大変だろうなあ、と思った。せっかく連れてきたのに。。さすがにカメラを向けることは出来なかった。

あらかじめ予約したQRコードのチケットをかざすと、、、
IDが登録されているリストバンドが出てくる。使ってからのお楽しみ。使ったあとはお土産、笑。
入場の記念になるお土産が貰える。館内で製造しパッキングされた、出来立てほやほやのレゴ。このレゴ6個で、何通りの組み合わせができるでしょう。回答は館内にある。

レゴハウスへ行くには

 首都コペンハーゲンから特急列車で2時間揺られた後、バスで約30分のところにある。飛行機でも2時間ちょっとかかるため、首都圏からだとそれなりに予定を組まねばならない場所にある。車では3時間前後だが、高速道路の拡張工事の影響や通常のラッシュでしばしば渋滞が発生するので、時間帯は選ぶ必要があり、最低1泊はしないとレゴランドとレゴハウスの両方へは行けない。どちらか一つにしても、首都圏からの日帰りは厳しい。

DSB デンマーク鉄道のサイトで、目的地をLEGO Houseにする。クレジットカードで乗車券が購入できる。

チケットを購入するには

 あらかじめ入場時刻を選択しオンラインで購入する。午後遅い時間帯のチケットは割安になるのと、レゴランドへ行った帰りに寄る人も多く、当日券が売り切れていることもあるので注意が必要だ。詳しくはレゴハウスのサイトで確認されることをお勧めする。 それが難しい場合は旅行代理店などで、列車のチケットや宿泊も併せて相談するのが良いと思う。北欧専門でスタッフも経験豊富なフィンツアーを、個人的にはお勧めする。現在、2022年7月の日本からデンマークへの直行便SASは運航停止中だが、JALもしくはフィンエアーを利用して、ヘルシンキ経由、他にも運航している航空会社があるので夢ではない。デンマークへの入国は一切の規制がないことを書き加えておくが、変更することもあり得るので、事前調査を怠らないようにしてください 

レゴハウス

北欧旅行フィンツアー

 オープンから5年経過するが、何もなかったレゴハウスの周辺はおしゃれなアパートができていたり建築中の建物があったりと、様変わりしてきていた。冒頭に誰もいない、と書いたけれど、賑やかな一角になりそうだ。

レゴハウス 2017年2月16日 https://legohouse.com/da-dk/presse/lego-house-abner/

 

 

出口戦略と入口戦略

2021年9月22日

デンマークはでは2021年3月に政府と与野党での議論が行われ、全会一致で国内のエピデミックからどう脱却するか、特別法が制定された。

大きく以下8項目あるが、項目ごとに細分化された基準は80項目にも及び、段階的解除の目標日程とともに公表され、出口戦略として使われた。

  • ワクチン接種とブースター接種
  • 治療と医療体制
  • 感染状況の把握
  • 感染予防対策
  • 検査と隔離、及び追跡
  • 国境の動向
  • 人流抑制の動向
  • 市民の交流動向と感情(安心度や満足感)

これらを常時管理監視しながら遂行し、予定通り2021年9月12日には、全面解除となった。現在9月後半に、世界のあちらこちらでワクチンパスポートや陰性証明の利用について議論されているが、デンマークでは5月に導入され、大きな混乱もなく公共施設、飲食店、教育機関などで約4か月利用された。それも解除になり、自由な社会に戻ったところである。

ワクチン接種は強制ではないが、2021年9月20日時点で、対象の12歳以上の約84%が終了しており、1回目は86%が終了している。一回目と2回目のインターバルは6週間だが、徐々に1回目と2回目の接種率が近づいている。つまり、最後のグループが鈍化している。国全体としての目標は83%で、現在76%。まだ上昇しているので、80%に届くかも知れない。また、社会活動をしている人の9割がたが接種を受けており、感染率も大幅に下がったことは、ワクチン接種が大きな理由の一つであることは間違いないと思われる。

最後のグループの接種が鈍化している理由は様々あるが、基礎疾患のある人、医療従事者、高齢者施設の居住者と職員、そして年齢順に接種が進んだので、打ち遅れた中高年は、今接種に行くと若者だらけなので違和感があるだろう。なんで今一回目なんだ、と聞かれるかもしれない等などと考えてしまう人もいる、と想像できる。自分は大丈夫だろうという考えの人も少数だがいる。ワクチン接種を受けないと公言した人が撤回しづらい、というのもあるだろう。ブースターショットが始まっているので尚更だ。

追記、国別のワクチン接種率は各国比較し参考になるが、12歳以下の多い国と少ない国の接種率を同時に比較して、もし安堵しているのであれば注意が必要だろう。各国、目標値を、恐れずに名言すべきと思う。

ワクチン接種の義務化の議論

ブースター接種が始まっている。重度の免疫低下がある人や、一回目を受けて9か月を迎えるナーシングホームに入居する高齢者とその職員、そして医療従事者である。冬に備えた入口戦略が始まった。

個人の自由が認められているデンマークでも、職場によっては義務化すべきではないか、と考える人が多いのが現実だ。職場内で、ワクチンを受けずに重症化しいまだ後遺症に苦しみ、職場復帰できない人がいるという実例をみたり聞いたりしていると、うたない判断をする人が理解できない、と思うのは当然だろうし、先延ばしにしていた人もワクチンをうっておこうか、となるのは自然な反応で、ある程度までは接種が進んだ理由であろう。

市民は政府の説明におよそ納得し、今では見ることもないマスクだが、一時期は公共交通機関や店舗利用に導入されたマスクの義務化にも従った。ワクチン接種も同様、政府や専門家の説明に納得し、多くが拒否反応を示さず順番に従った。中高年は感染して重症化したくないと考える人が多く、若者は重症化することの危機感より、家族や周囲の人に感染させたくないし、週2回の陰性証明を得るのはもう面倒だ、というのが大方の反応であったように、あちこちでのインタビューでそのような印象を受けた。

ここへ来て、ナーシングホームの職員がワクチンを受けておらず感染し、そのまま職場に出勤し高齢の居住者にうつし死亡者が出たことが、追跡調査で判明した。ワクチン非接種者への風当たりが強くなった。非接種ならば自粛生活を続けて欲しい、と居住者の家族が考えるのは当然と言える。ホームの住人は身体介護を必要としている人がほとんどだからである。

高齢者ホームや自宅で訪問介護を受ける高齢者の重症化や死亡者数が抑えられている現実からも、ワクチン接種をしていれば、感染させるリスクも低いことが判明している。ワクチンを接種するとリスクが高まるというような意見も散見されるが、超過死亡数と比較しても、それは当てはまらない、との見解がデンマークでは主流である。

この感染症が拡がった時点での対策への国民の共通認識は、死亡や重症化のリスクの高い人を守ることであったので、それと相反する行動は非難されても仕方のない面がある。

休業補償もあり、ワクチン接種も無料で機会は公平に与えられ、検査はいつでもどこでも無料で受けることが可能で、万が一感染しても病院が無料で面倒見てくれる社会でできることは現時点ではここまでしかないのであろう。命優先で現在国ができること、市民が納得することは、ここまで。職場によっては義務化、というのも致し方ないのであろう。

インフルエンザが大流行するとの予測も出ているため、インフルエンザワクチンも推奨されている。人々の交流が鈍化し、インフルエンザも流行らず、風邪にも罹らない状況が一年半以上続いたので、人々の免疫も落ちているとの見方だ。

そしてなによりも政府と専門家が「また波が来る」と警告しているので、既存のワクチンが有効でない変異したウイルス発生したら、また暫くワクチン供給を待たねばならない。国内での感染拡大を避けるために、次はなにができるのか。。

高速充電ステーション

2021年9月5日

新しくできた街の高速充電ステーションを訪ねてきたので、それをまとめようと思ったところ、カテゴリーをどこにしようか迷ってしまいました。デンマークは、何をするにしてもデザインを避けては通れないし環境問題のパイオニアなので、それらにまたがることが多い、と改めて思った次第です。

デンマークの現在のEV率は0,8%。2030年までにこれを37%まで引き上げる目標があり、あちらこちらでインフラの設備が進んでいます。今、電気エネルギーに石油は使われていません。風力発電のデンマークと世界でも認識されていることからもお判りいただけるので、さほど驚くことではないかと思います。ですが、石油はデンマークの全エネルギー消費の40%にもなります。これがガソリン車に使われています。

地方へいくと、移動距離や移動した先での給電確保の問題があってかハイブリッド車はよく見ますが、ガソリン車が圧倒的です。都市部は人口密度も高く、通勤もそう長い距離ではないので、EV率は都市部が高いです。住宅街の公共パーキングエリアにも続々設置が進んでいます。

17時から翌朝8時までは駐車できるので、夜間充電が可能です。日中は3時間まで。住宅街の無料公共駐車場。
集合住宅に住んでいてもEVオーナーになるのは難しくありません。企業で充電スタンドを設置しているところもあるし、街にもあるし、です。

余談ですが、日本では石炭火力発電が原子力の代わりに動いているようで、なかなか厳しいですね。デンマーク、石炭とコークスは、1990年は全エネルギーの34%を占めていましたが、現在は5%です。

さて、これが高速充電ステーションです。
木造です。環境に配慮しているんだ、とのメッセージですね。新聞の記事には、未来は来た!次はワカメか豆腐か、、って、笑えました。

場所は、コペンハーゲン市隣接の市の市庁舎裏の駐車場です。2-30台分を削って作られました。
ベンチは公共エリアでよく見かける、コペンハーゲンベンチ。

お支払いは、スマホのアプリでキャッシュレス。
天井にカメラ。トラブルがあったときに確認できる。防犯にも使える。
昔懐かしい、ペトロの匂いもせず、油のシミもなくきれい。
シンプルで美しいデザイン。デンマークが得意とするところです。ケーブルも、通常一般車は自分のものを使用しますが、ケーブル備え付け。

ここは、いくつかあるうちのClever という会社の充電ステーションですが、2009年からEV促進に参加してきており、来年は500カ所の充電ステーションを作る計画があります。エネルギー共同体やファイバーネット企業が背後にいます。北欧全体に広げていこう、北欧から世界へ発信していこう、という狙いです。かっこよく、実用的で持続可能なデザインを、がモットーのCobeCobeの高速充電ステーション。

一般車用充電ステーションの後ろには、タクシー専用があります。ケーブル備え付け。30分以内でどいてね、の標識。少し前までは、とりあえず多く設置する、が最優先だった。
プラグ、車両側の差し込みの形が違うので、三種類。
大きな市庁舎の正面と広場。コペンハーゲンのお隣の市。
大きな市庁舎でしょう? 戦争で工期が遅れましたが、無事1953年に完成です。
人口約10万人の市ですが、動物園があったりと緑豊かで、おしゃれなカフェが多く、若い人にも人気の市です。
広場の前の交差点。

デザイン家具 見本市 未来は今 その1

2021年8月25日

コペンハーゲンでデザイン家具の見本市が開催されたことは、暗雲たれ込める日々の、一息の休憩にもなりました。マスクもせずに開催していることに異論もあることと思いますが、それは別に記すことにして、ここではデザイン家具の話をしようと思います。

テーマは流行と伝統、そして緑を次世代へ(持続可能)でした。デンマークの家具、取り分け椅子は世界でも有名です。皆さんがもし、一生使えて次世代にも残せる椅子を購入するとしたら、どんな椅子を選びますか?

どんなに高価で有名でも、自分の好みとは違うデザインは選べませんね。流行りのものはどうですか?ずっと使うことができますか?洋服も流行りのものだと数年後には遅れ(笑)を感じませんか?あまりにスタンダードだと、つまらない・・・かも知れませんね。好みはさまざまですし、地球に優しいなどと縛りができたら、尚のこと難しくなりますね。

デンマークでは、50年代に世に出たデザインが70年経った今でも市場のトップにおり、追い抜くものは登場することがまれで、何かの賞をとってもなかなか長続きしない、とても競争の激しいマーケットです。クラッシクデザインの右にでるものは無いと言っても過言ではないでしょう。それ程の人気です。でもメーカーは、デンマーククラッシク家具のライセンスを持っているからと言って旧態依然であぐらをかける時代ではなくなりました。環境問題が大問題の現在、消費者にも受け入れられる商品を、また社会が認める商品を出さなくてはならないし、工房もデザイナーもそのような商品で、世界をリードし差をつけることによって付加価値をつけ、これまでの良いイメージをもっと向上させていきたい思っています。そしてこれは国の戦略でもあります。

デンマークのクラッシックデザイン家具を支えているのは、木材の性質です。 強度があって硬い、オーク、マホガニー、チーク、 ウォールナット、 桜などが使われてきました。大事に使えば一生使えます。次の世代へも、その次へも残すことができます。
今回の見本市でも、木材を使った家具が再認識されているのだな、と感じました。無垢の木材を使った家具の展示が圧倒的でした。 ならばそれで良いではないか、、となりますが。

木材が持つ自然の色はきれいですよね。一番手前はアフリカ、コンゴで生育する硬い木です。磨くだけでこんな深い色が出ます。

木材には様々な色がありますが、意外と忘れがちなのは、同じ木材でも色や明るさが木目によって違うことです。床材などは若干違ったほうが、自然の木材だということもわかるし厚みも感じられて温かみもありますし、幅広なら一層高級感もでます。ですが居間に一脚だけ置かれた椅子は、例えば脚と背板、背もたれ部分など、全体が同じような色合いでないと、自然とそこへ意識が行ってしまいます。ダイニングチェアーも四脚なら四脚全体の色合いが揃っていないと、そこへまた目がいきますね。シンプルなラインのクラッシック家具は、人のそのような感覚を前提に、自然な木目の美しさを損なわずに組み立てられています。色合わせをしていくと、合わない色合いの木材が残ります。量産するデザイン家具は、一脚ごとにその課題に向き合っています。長い年月をかけて育った樹木を、更に無駄にせず、本来のデザインを損なわずに商品化するには、クラッシクから少し離れることも必要です。

社会のニーズもあって、最近はカラフルなデザイン家具が商品化されてきています。自然の木に色付けするのは、もったいない気もしますが、色合いが大きく違ってもデザインが損なわれてしまうし、無垢でないほうが用途によっては個人の好みにあうこともあるし、表面を保護する役目もあるという良い点も忘れてはいけないですね。ということで、伝統的なデンマークデザインでも様々な色のが家具が、昨今多く商品化されています。

色付けは、地球にやさしいことが求められます。なんでも色があれば良いというわけでなく、ここにもデンマークの環境問題に対するこだわりが垣間見えます。先へ先へ、未来は今、に責任があるという考え方です。

デンマークを代表する家具工房、PP Møbler(PP家具)社は、例えば50年かけて育った樹を伐採して造った家具は50年以上使えるように、そういった品質の良いものを作り続けていきたい、と言っています。次の50年、のんびりゆっくり樹が育つまで、家具を造るために森が無くならないように。これが、持続可能な社会への取り組みの分かりやすい一例です。

また、環境に優しい家具工房であり続けるためにも、ラッカーは水性がメインで、油性は植物のオイルを使用するなど、環境に配慮しているようです。

PP Møblerが Hans J. Wegner(ウェグナー)デザインのライセンスを数多く所有していますが、生産しているうちのひとつに、ザ・チェアーがあります。ケネディとニクソンのテレビ討論に使われた椅子がそれですが、数年前にオバマ元大統領も座られたことがあるので、耳にされた方も多いでしょう。

Hans J. Wegner は「椅子は座るためのもの」であって飾るものではない、と常々言っていました。ですので重要な対談にも座り心地が良く、シンプルで何も主張しない、対談の邪魔をしないこの椅子が選ばれたのも当然なのでしょうか。そして、これぞ椅子、とアメリカで評判になり、The Chairと呼ばれるようになりました。

家具職人としての技術も知識も持ち合わせていた Hans J. Wegner が1949年に完成させ発表されたときは、丸い椅子という名前がでした。

この椅子を製作するのにも、木材の色目はとても重要です。脚とアームレストの接合もすんなりはまっていますね。木目の位置も、背板を見ていただくと分かります。このようにして高価な木材の色目を合わせていくと、合わない色が出てくるのは前述しましたが、お判りいただけますか?さて、どうするか。

結論は、ザ・チェアーに色を付ける。ブラックが今回初めてお披露目されました。地球に優しい工法で、斬新な椅子が出来上がりました。どっしりした感じもありますが、本来の無駄のないラインにもよく似合っています。座面の編み込みも引き立ちます。ブラックと言っても、材質によって肉眼でも違いが分かるほど、色味は変わります。このブラックはきれいですね。マットな仕上がりでした。来場者にも好評だと言っていました。昨今のヨーロッパでは、服地にもブラックの人気が高いです。環境問題だけでなく、ブラックは色そのもののニーズがあります。

四脚写っていますが、中央のファブリックの座面。一番手前と後ろの二脚に引けを取らない、まるで前からあったようにも見えませんか?

ザ・チェアー 四脚

PP58  Hans J. Wegner デザインのダイニングチェアです。これもブラックがよく似合いますね。そして、ファブリックの座面。 60年代の匂いがしますが、クラッシクと合わせるとモダンになりますね。さて、このファブリックのデザイナーはどなたでしょうね。。なんとなく可愛らしいデザイン、デンマーク人ではない気がします(笑)

ブラックのダイニングテーブルに、ダイニングチェアー。

Hans J. Wegner の椅子と言えばこの、チャイナチェアー。これもブラックを出すのか、、展示が無いということは、相続人がオリジナルの変更を承諾していないのかも知れません。と、容易に想像できるほどチャイナチェアーはデンマーク人にも愛着があります。そのうち分るでしょう。

チャイナチェアー

最後に、人。

仕事中でも呑んで休憩です。
デンマークのデザイナーさんやバイヤーさん、メーカーさん、みんな楽しそうでした。

ジン&トニックの列(笑)
外でコロナパスを確認する、アルバイトの高校生。

分別ごみ

2021年2月22日

一般戸建て家屋の分別ごみにコンテナが配布されている。その数なんと4個。

普通のゴミと生ごみでコンテナ1個。中は仕切りがあって、回収車は一台しか来ないが自動でコンテナを持ち上げて、それぞれに回収されている。

段ボールで1個。プラスチックとメタルで1個。ガラスと紙で1個。そして、、さらに布地と牛乳などの紙パックも別に回収を始める予定だと、市のお知らせ。。

ジュースの紙パックは、牛乳のパックと違って太陽光を遮るように極薄のメタルが紙にサンドイッチされているから、、これはどうするのか素朴な疑問。

昨今増えた再生布でできた、バスマットなども思いつく。

一軒単位での生ごみ回収目標は年間155㎏だそうだが、そんなに捨てるものなのか。

「ある人質 生還までの398日」

2021年2月17日

1978生まれでダニエルより10歳ほど年上の プック ダムスゴー(Puk Damsgård)の著書「ダニエル、月が見える? 」が映画化されたものだが、著者の彼女自身がダニエルと同じように、若いエネルギーとパキスタンへの興味が高じ中東に魅了された経験をもち、2008年から中東専門のジャーナリストとなり現在カイロに在住し、公共放送の特派員としても中東各国へ出張し現地からの情報を送っている。

若さということはどういうことか。

ごく普通の家族に困難な事件が突然降ってきたときに家族は、社会はどう動いたか。

過酷な状況の中でも役割と友情が確立される。

信仰とは名ばかりの、非武装を人質にとるテロリストの実態。

このようなことをダニエルの経験から伝えることができれば、というプックの思いが映画にも込められています。

自己責任が当然の社会における事故や災難について、他人が彼を責めたりはしない。デンマークがそういった社会であることは間違いがない。

COVIT-19で陽性になっても隠す人はいないし、謝る人もいない。感染した人もルールを守り気を付けていただろう、と多くはそう思う社会。